2018年1月31日水曜日

ネクストランドへのパスポート(その1)


ネクストランドのパスポートが発給されると、利用に応じて3種類が支給される。
一つは移住者や定住者専用。二つ目は期限を設けた利用者(会員制による)用の一般的な磁気カードのようなもの。三つ目は会員以外の短期的ビジターが利用するパンフレットの二つ折り程度のもの。
そのパスポート(会員証)が金額的に幾らになるか定かではないが、様々なサービスが希望に応じて受けられる。

例えば、ここには病院はなく保養施設がある。そこは病気を治すところではないが、病を患った人たちでも期待できるところだ。
そこでは革新的な治療法が行われている。
簡単に説明すれば、こんな感じだ。
患った箇所があれば、その人がもっとも健康だった年齢の頃の意識を読み取ってその意識と同調することでその箇所が健康な状態へと戻っていく方法だ。
その健康だったころの意識は機械で読み取るのではなく、患った人自身が再度その状態の意識へと導くように指導するワークショップが行われている。
現在の子供たちの教育ついて見ていくと、これから学校に通う子供たちにとって学ぶべきところは旧文明の教育制度からはほとんどないし、その必要もないだろう。
あるのはそのネガティヴな度合いからコントラストを経験する体験の場と言った方がふさわしいかもしれない。
それらは我々のような旧世代が十分に経験しすぎてきたので、次世代の若者は学ぶべき対象を自分自身で見つけて行ってほしい。
そこで学ぶエリアについて見ていくと、基本的には従来のような学校と言うところはない。
学ぶべき場の仕組も新しい社会システムの雛型になっている。
そこではそのような場として自由に学べる環境と校舎が用意されている。
先生と言う肩書もここにはない。あるのはその道に詳しい先人や指導者と言われている人たちで、教壇に立つことなどない。いわゆるリーダー各の人間が多数を束ねて指導するパターンが見当たらない。子供たちの中に混じってる感じだ。
一般教養は小学生の段階で早々と終了。すると後は旧システムのような教室や時間割などもなく、カリキュラム(学ぶべき項目とスケジュール)などは自分で組み立てている。なので課題などなく自分で研究対象を見つけては定期的に発表することになっている。
当然テストなどは全くない。小学生レベルでそれに似たようなものがあるとしたらゲーム感覚の学習になっている。
中学生レベルですでに専門の分野を選択する体制が出来ており、高校生の年齢で社会に出て生産活動に従事する能力に達しているのが一般的な子供たちの姿である。

自治区の環境を見ていこう。
公園などと言う区画はない。そこは里山や森が豊富に昔芝生だったエリアを囲んでいる。
野生の動物たちもその森には多く住んでいるが、新たに牛や羊・馬・小動物が放し飼いにされている。もちろん生産用に飼われており、ダーチャ生活をしている人たちや農耕に従事している人たちの収入源にもなっている。
自治区内の主要な道路は意外に広い。歩行者が歩くところ、自転車が走るところ、乗馬で通るところ、車が行き交うところに分かれている。だが舗装されているのは車が通るところだけだ。
森の中にはアウトドアに適した地区もある。キャンプでテントを張る他、ツリーハウスに寝泊りもできる。森の中で行われるワークショップは子供だけでなく大人たちにも人気がある。森の中にも学校がある。だがそこには何の教室や校舎もない。だが学ぶことはたくさんある。
体験学習の場は非常に豊富に用意されている。ほぼ全ての領域が初めての旧文明人にとっては真新しい体験になるだろう。
特に森・住居・菜園が一体となって展開する農体験は短期的なビジターに人気がある。
会員になれば市民農園が借りられる他、ダーチャ生活用の農園付き簡易住居も借りられる。ここでの生活を定住したければそれも可能となっている。


短期ビジターの泊る宿泊施設は本部から近いドーム村にある。その他に会員になれば、ホビット村の地中から覗くホビットハウスや森の中の様々なタイプのツリーハウスにも泊れる。
ここで食事をするには自治区で育てた食材によるオーガニックレストランが中央に位置している。
お土産を買ったりする所は本部案内センターにあるが、自治区の生産品などは屋内マーケットで買うことができる。週に2度は屋外でマーケットが開かれ、自治区以外の販売者や生産者も販売している。